複数の抵当権の変更登記を一括申請できるか?

(事例)
B銀行と設定者Aとの間で、全ての抵当権の債務者の氏名変更の登記手続きを行うこととなった。次のような二つの抵当権につき、登記の目的及び登記原因が同一である抵当権変更登記を、一括申請することができるか?

(所有者Aの不動産の登記記録)
【1番抵当権】 債務者A 抵当権者B銀行
【2番抵当権】 債務者A 抵当権者B銀行

(登記申請情報)
 登記の目的 抵当権変更(順位番号後記のとおり)
 原   因 年月日氏名変更
 権 利 者 B銀行
 義 務 者 A

論点整理

登記の目的及び登記原因が同一であれば、一括(一件の申請)で登記申請可能(不登令4、不登規35⑨)とされている。
複数の抵当権の「抹消」登記の場合、抹消登記は主登記1件(「1番、2番抵当権抹消」の要領)で登記され、抹消登記完了後に当該抵当権の登記記録が利用されることはなくなるため、問題なく受理されている。
他方、複数の抵当権の「変更」登記の場合、一括申請を行うと、複数の抵当権に同一の受付番号で付記登記がなされることとなり、公示上混乱が生じるおそれがある。

結論

法令には違反しないので、一括申請で申請されたとしても、却下はできない。
その場合は、各抵当権に同一の受付番号で各別に付記登記をする形になる。
ただし、公示上誤解のおそれがあるため、原則通り各別申請して欲しい(H30.3.23鳥取地方法務局米子支局回答)。